※タブロイド判のポスターを4つ折りにして同封します。
【商品概要】
阿部大樹(著/文)タダジュン(イラスト)
発行:雷鳥社
B6変型判 縦172mm 横120mm 厚さ14mm 160ページ
定価 2,000円+税
【内容紹介】
2020年に「日本翻訳大賞」を受賞した精神科医・阿部大樹、受賞後初の著書。
言葉の意味はたえず変わっていく。
書き留められるのは、その一瞬にもっていた意味だけだ。
―――言葉はいつまで、もぞもぞ動く?
翻訳家(精神科医)が”私的なノート”に書き溜める、
国や地域、時代をまたぐ味わい深いことばたちを、ひろく紹介する、ちいさな目録。
”名無しの翻訳”、”時代とともに消えた言葉”、”意味の移り変わり”など
私たちの、”くちのききかた”からこぼれた60個の欠片を、版画家・タダジュンの挿絵とともにしずかに眺める。
例1:a three-days sensations/人の噂も七十五日
逐語訳すると「三日間の衝撃」であるけれども、これは(すこし時代がかった)英語の慣用句で、大きな事件もしばらくすればさっぱり忘れられてしまう、という意味。これを説明するのに、「75日」と持ってきた辞書は大胆だなぁと思う。
三日天下、三日麻疹、三日坊主などどれも、「早く過ぎること」のたとえ。三日にあげず会う恋人たちなら、ほとんど毎日会っている(たぶん)。三日見ぬ間の桜は、ちょっと目を離したすきに散ってしまった花。ひとの気が変わりやすいことについても使う。
例2:Fight-or-Flight response/「闘争か逃走」反応
動物が突然の恐怖を感じると、心拍数は上がり、注意が鋭敏になり、瞳孔が開く。つまり自分の身を守るため、敵と戦うか、あるいは全力で逃げる準備をする。1915年にこれを発見したアメリカの生理学者は、うまい韻を踏んでこの現象に名前を付けた。これの日本語訳もなかなかうまいけれど、翻訳者の名前は伝わっていない。詠(よ)み人(びと)知らずの翻訳である。
例3:Barometer/アメカゼヲ知ルトケイ
明治期の英日辞典より。
バロメーターとカナ書きすると本来の意味からは離れて、ひとの反応とか心情を知るための方策、くらいの意味になる。もともとは気圧計のことで、後には風向計のことも指すようになった言葉。
周りの顔色ばかり窺っているひとを、風向計になぞらえて風見鶏と言う。心情がたくさんにあつまると、風や空気に例えたくなるのかもしれない。一人ひとりが思っているのとは違う方向に、どうしてか全体が傾いてしまうこともある。
【目次】
はじめに
1.ことばでないもの
2.ことばをさかのぼる
3.ことばのうつりかわり
4.ことばがうまれるとき
5.ことばがきえていくとき
6.ことばをかきとめる
あとがき
※各章末には、著者の小エッセイを収録。
【著者プロフィール】
阿部大樹 (アベダイジュ) (著/文)
1990年、新潟県に生まれる。精神科医。松沢病院、川崎市立多摩病院に勤務。訳書にH.S.サリヴァン『精神病理学私記』(日本評論社、第6回日本対翻訳大賞)、R.ベネディクト『レイシズム』(講談社学術文庫)。「サンフランシスコ・オラクル」誌の日本版翻訳・発行を行う。
タダジュン (タダジュン) (イラスト)
版画家・イラストレーター。版画の技法を使い、書籍や雑誌のイラストレーションを中心に活動中。作品集『Dear,THUMB BOOK PRESS』をSUNNY BOY BOOKSより刊行。
【元ツイート】
https://x.com/CatsMeowBooks/status/1360781961598410752