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動物たちの家

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【商品概要】 奥山淳志(著/文) 発行:みすず書房 四六判 重さ 450g 336ページ 定価 2,800円+税 【内容紹介】 犬、ハムスター、鳩、鶉…共に暮らした種々の小さな生き物たちの瞳や毛並、表情や行動の記憶が僕に語りかけてくる。『庭とエスキース』の著者による、新しい動物文学。 「この後、犬をはじめハムスターや野鳥や鳩やインコなどたくさんの生き物と暮らすことになるが、思えばこれが自分以外の小さな生命を胸で感じた最初の瞬間だったのかもしれない。子犬を抱き上げて力強い鼓動を感じ、小さな瞳を見つめたあの日の経験は知らぬ間に僕の胸のうちに“場所”を生んだのだと、今の僕は感じている。 それは、小さな生命が灯す光に照らされた場所だ。とてもきれいな場所だけれど、美しさだけに包まれているものでもない。生きることの根源的な残酷さや無常を孕み、もしかしたら小さな生命たちの墓所のような地なのかもしれない。僕が過去に出会い、ともに過ごした生き物たちはみなその生を終えてしまっている。僕の前で確かに存在していたあの生命たちはどこに消えてしまったかと、ときおり、遠い日に忘れてしまったものを急に思い出したかのような気持ちになる。でも、あの美しい針が居並ぶような艶やかな毛並みも、鮮やかな色彩のグラデーションが施された柔らかな羽毛も、ひくひくと震え続ける桃色の鼻先も、僕を満たしてくれた小さな生き物たちの存在は確かに消えてしまっていて、どこを見回しても見当たらない。それでも根気強く探し続けると最後にたどり着くのは、いつも胸のうちにあるこの“場所”だ」(本文より) 【著者プロフィール】 奥山淳志 (オクヤマアツシ) (著/文) 写真家。1972年大阪生まれ、奈良育ち。京都外国語大学卒業後、東京の出版社に勤務。1998年岩手県雫石町に移住し、写真家として活動を開始。以後、東北の風土や文化を撮影し、書籍や雑誌等で発表するほか、人間の生きることをテーマにした作品制作をおこなう。2006年「Country Songs ここで生きている」でフォトドキュメンタリー「NIPPON」2006選出、2015年「あたらしい糸に」で第40回伊奈信男賞、2018年写真集『弁造 Benzo』で日本写真協会賞 新人賞、2019年写真集『弁造 Benzo』および写真展「庭とエスキース」で写真の町東川賞 特別作家賞を受賞。主な著書に『手のひらの仕事』(岩手日報社、2004)、『とうほく旅街道』(河北新報出版センター、2012)、『庭とエスキース』(みすず書房、2019)などがある。 【元ツイート】 https://twitter.com/CatsMeowBooks/status/1431094758969991172 【私のBunkamuraドゥマゴ文学賞】 https://www.bunkamura.co.jp/bungaku/mybungakusho/article29.html 当店で一番の人気ものだった看板猫が亡くなったとき、この心の痛みが癒えることを願うのではなく、一生哀しいままでいようと決めた。想い出を辿っても泣けなくなったら、その存在が完全に消えてしまうような気がしたからだ。猫、犬、鳥、金魚、爬虫類など、人生で一度もニンゲン以外の生きものと暮らしたことのない人は少ないのではないか。しかし、その死に際して(特に大人になる前は)、初めて家に迎え入れる前後に抱いたプラスの感情と、熱量に差はなかっただろうか。写真家である著者が、かつて一緒に過ごした生きものたちの灯す光に照らされた、甘美だけれどもある意味残酷な“場所”を覗き込んで綴ったこの随筆を読むことは、各人の生きもの体験の記憶を呼び起こし、いまの自分が生命にどう向き合えているかを問う行為でもある。各話にはタイトルもなく、どこまでも潔い文章で紡がれた300ページ余りの本作は、動物文学の最高峰に達しているように思える。そして、書名の意味を反芻するとき、当店は今いる看板猫たちの“家”になれているのだろうかと考えてしまう。

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